2015年 10月 24日
爆発 * 第四幕−3
今朝から大笑いする気にはなれず・・
チケットは取りませんでしたが、
今頃、楽しい初日舞台挨拶でしょうか。
それにしても、キーマン、ってどういうこと!?
あれだけ綺麗に終わったのに、
また後半でさくらと絡む状況が思いつきません。
「やっぱりこの子を産ませなければ良かった」
と悩むことしか思いつかないのですが、
あんなに優しいヒロくんがそんな風に思うような展開は、
避けてほしいなぁ・・(T_T)
どんどん忘れてしまいそうなので、
今はとにかく、REDの記録をつづけます。
* * *
「僕が画家だと知っていますか!?」
悲痛な声で問いかけるケン。
しかし、木枠を脇に運んで行く彼の背に、
ロスコは残酷な言葉を返します。
「お前はただの従業員だ。私のためにここにいるんだ。
それが嫌なら辞めればいい。」
一瞬ビクッと足を止めるケン。
しかし、そのまま憮然と木枠を片付けるのですが、
戻ってくるケンに、ロスコはさらに追い打ちをかけます。
「それがこの茶番の理由か。
パパに頭を撫でてもらえなかったから、傷ついたのか?
ママに抱きしめてもらえなかったから、泣いているのか?」
顔面蒼白で「やめろ・・」とつぶやくケン。
トラウマの記憶が蘇ったのか、
生い立ちを語った時のように、手で耳や頭を押さえます。
「私を責めるな。私がお前の両親を殺したんじゃない。
「やめろ!」
「さっさとセラピストでも見つけて、私に泣き言を言うのはやめてくれ。
私に甘えるな。うんざりだ」
なんとむごい言葉でしょう。 (T_T)
いくら高尚な芸術家だって、
人として言ってはいけない言葉がある。
売り言葉に買い言葉とはいえ、
ケンよりずっと大人のロスコは、冷静であるべきなのに・・。
ケンは憤怒に燃えたギラギラした目で、叫びます。
「うんざり?・・こっちのセリフだ!」
ここからは、まるで日向徹が
ネクストイノベーションを追い出される時のようです。 (*^^*)
旬くんの長台詞が、ほとばしるように溢れでて、
彼の演技の真骨頂です!
ーあんたは毎日毎日、ベラベラしゃべりつづけて、
ーあんたは見ているだけ、待っているだけ、
まだ見る、まだ見る、もっと見る、何週間も見てるだけ、
ーあんたほど、自分を特別なものに見せたい人間はいない!
ー誰もがいつも、腸を引きずり出されるような芸術を求めてるわけじゃない、
風景画やスープ缶に癒やされたい時だってあるんだ、
ー窓を締め切った、この潜水艦のようなアトリエにこもって、
なぜなら、「自然の」光なんてあんたには不十分だから!
そう言って、これまで他人やポップアートを見下してきたロスコを、
罵倒し倒します。 (^_^;)
ケンの叫びに、どこか思うところがあったのでしょうか、
ようやくロスコは揺り椅子に座り、ケンの言葉に耳を傾けます。
ー美術館も、画商も、収集家のことも批判して、
いったい誰ならあんたの絵を持っていいんだ?
そして、もう泣きそうな声で尋ねます。
ーいや、本当に聞くべきはこうだ、
いったい誰なら、あんたの絵を見ていいんだ!
ーあんたにとってはすべての人間が、
「己を知れ、お前に才能はない。」・・そうだろう!?
ーあんたはもう、自分の絵を理解できる者なんていないと思ってる、
希望を失って、・・ブラックがレッドを飲み込んでしまったんだ。
そして、揺り椅子に座るロスコの前に歩み寄ります。
ーだから、あんたを理解できる本物の人間が、
たとえ目の前にいたって、気づかないんだ!!
この場面、最初の頃は、この写真のように
指をプルプルと震わせてロスコに突き付けていて、
ただじっと見つめ返すロスコの視線に言葉を失い、
「・・もういい・・」とその指を下ろす演技でした。
その方がわかりやすくて好きだったのですが、
後半から千秋楽にかけては、
両腕を垂らしたまま睨み合っていました。
そうすると、「もういい・・」と言うタイミングが難しく、
かなり長い間があってから、ケンが踵を返す感じでした。
怒りとともに叫び続けた旬くんが息を整えるのに、
それだけの時間が必要だったのかもしれませんね。 (*^^*)
そしてすごいのは、この長台詞を
旬くんが一度も噛まなかったことです!
実は私は10回以上、舞台に通いつめてしまったのですが、(^_^;)
ロスコは2回ほど、噛みまくりの日がありました。
でも旬くんは、あったとしても1回くらい噛みかけるくらいで、
初見の人なら気づかない程度。
「出口はあちらです」を、「退場はあちらです」のように
台詞を一言間違えることが稀にありましたが、
これも自然につながって聞けるので、大丈夫でした。
とにかく、この第四幕の、感情を爆発させる時の台詞は、
もう演技ではなく、旬くんがケンになりきっている魂の叫びで、
本当に素晴らしかったです!! (^o^)v
つづく