ブログトップ

王様の耳はロバの耳

全否定 * 第三幕−4

やはりね、旬くんがスーツを着ているだけで、
「普通の男」ではありえない気がします (^_^;)

こんなサラリーマンが街を歩いていたら、
思わず振り返りますよね! (^o^)

ロケの目撃によると、
次回(?)は普段着のヒロくんも登場するようですが、

奥さんが心配で、明るい色の服なんか着られない様子なら、
それもまた、切ないです・・ (T_T)

f0153101_10592479.png


そして、たった2週間前に終わったばかりなのに、
もう、すごく遠く感じてしまう、ケンの記憶のつづきです。

もしかして、すでに記憶違いもあるかもしれませんので、
何か気づいた方は教えていただければ嬉しいです。

 * * *

壮絶な、ケンの生い立ちの告白。

英書には、
ーーロスコはケンを慰めようと考えたけれど、そうはしなかった。
と書いてありますが、

ロスコがロシア時代のコサックの蛮行の話をしたとき、
私は、ケンを慰めようとしているのかな? と思いました。

そして、ロスコの出自の話でケンも気分が変わり、
舞台では、ここでケンが赤く染まったTシャツを着替えます。

初めの頃、旬くんはけっこう時間をかけて、
舞台の中央の方まで出てきて着替えていたので、

綺麗な体幹がよく見えて、眼福でした (*^^*)

前から見ても、バルコニーから背中を見ても、
よく引き締まった姿が美しかったのです。

でも、後半に入ってからは、
上手奥の棚のあたりでササッと着替えてしまい、
あまり身体を見せなかったような気がしました。

これは私の考え過ぎかもしれないのですが、
ある時、ある有名な芸能人の方がブログに感想を書いて、

ロスコの演技のことは褒めたのに、ケンのことは
「まわりの若い女性が小栗くんの裸にハアハアしていた」
としか書かなかったんです。

著名な方なのに、
随分と残念な見方しかできなかったんだな、と思いました。
(ウケ狙いで書いたとしても、ちょっと失礼ですよね。)

確かにロスコは圧倒的な存在感で、台詞量もすごいので、
台詞を追って見ていたら、ケンは目に入らないかもしれません。

ロスコの話を聞いている、受けの芝居が多いけれど、
その時に旬くんを見ていれば、

どれほど繊細で、自然で、表現豊かな演技をしていたか、
わかるのに・・。

もしかして、そのブログの内容が旬くんの目にも入って、
そんな見方ばかりされないように、
露出を最小限にしたのかな?

・・そんな、うがった見方をしてしまいましたが、
真相はわかりません。 (^_^;)

そしてここから、とても大事な芸術談義が始まります。

「聞いてもいいですか?
 ブラックが怖いって、本当ですか?」
「いや、私が恐れているのは、光が消えることだ。」

「盲人のように?」
「死者のように。」

「そして、ブラックは死の色ですか?」
「誰にとってもそうだ。」

そして、
「これを言ったら怒られます」とためらいながら、

ブラックを死のイメージとするロスコを、
ロマンチックすぎる、黒もただの色だ、と批判します。

ロスコはケンだって白から死をイメージすることをあげて、
お前も自分の過去の体験を利用して絵を描けばいい、
とけしかけます。

純粋なケンはそれが許せず、
二人の激論はどんどんヒートアップして・・

「僕は個人的体験から芸術的要素を立ち上げたりしない!」
「すればいいじゃないか、怖がっているのでないなら。」

「僕は怖がっているんじゃない、
 それじゃあ自己陶酔でしかないからだ。」
「・・では、私はありきたりで、自己陶酔していると?」
「残念ながら!」

そして、ついにケンは、言ってはならないことを口にします。

「いいですか、画家は老いて、弱っている。
 ブラックが彼の絵を侵食し始めている。

 彼は打ちひしがれ、死を恐れ、・・
 さよならを言っている。」

そして、ゴッホやマティスが、
死の直前まで彼ららしく鮮やかな絵を書き続けたことを、
褒め称えます。

でも、本当はケンはロスコが大好きなんだと思います。

だからこそ、力を無くしているように見えるロスコがもどかしく、
ロスコらしいREDを描きつづけてほしいと願っているのです。

しかしロスコはケンの言葉に怒り、激しく罵倒します。
今にも掴みかかりそうな勢いで、ケンにツバを飛ばして・・

「お前の思春期らしい浅い分析で彼らを貶めるな!
 ・・・
 お前は彼らと肩を並べることなど、到底できない。
 お前は彼らの足元にも及ばない!!」

そうです、ロスコの言うことはもっともなことかもしれません。
でも、自分の才能を全否定されて、

怒りに震えるケンの蒼白な顔・・

この場面の二人の迫力はものすごく、
本当に憎しみ合っているかのようで、

怒りを押し殺すケンの息遣い、
今にもブチっと切れそうな血管の脈打つ音まで、
聞こえてきそうな、見事な演技です!

悔しさをグッとこらえて、氷のような声で、
「・・コーヒーが切れています。買ってきてもいいですか?」
と、憮然として出ていこうとするケン。

しかし、ロスコはさらに追い打ちをかけるのです。

レンブラントの絵に書かれていた、ヘブライ語の文字。
「己を知れ。お前に才能はない。」

さすがに怒りに震え、睨み返すケン。
けれどその言葉はケンを罵倒したものではなく、

「・・・それが私にとってのブラックだ。
 お前にとっては、何だ?!」

そして舞台は暗転します・・

 * * *

このできごとが、
ケンの心がロスコから離れていくきっかけだったかもしれません。

しかしロスコにとっては、ケンを否定することが目的ではなく、

自らの芸術を追求すること、
迫り来るブラックに抗ってもがきながら、REDを描き続けること、

そのことの意味を再確認したできごとなのかと思います。

ケンに教え、批判され、論破し、内省することで
自らを見つめざるを得ない大家の心中は、

これもまた、苦しかったのだと思います。

この第三幕、
演じる旬くんにとっては、感情の起伏がものすごく激しくて、
本当に消耗する役だったと思います。

ロスコはもちろんのこと、旬くんも
この素晴らしい緊迫した場面を見事に演じきってくれて、

何度見ても、胸をグサッと刺されるような痛みとともに、
忘れられない幕となりました・・。


つづく
[PR]
by harupyonri | 2015-10-19 12:10 | 小栗旬 | Comments(0)