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王様の耳はロバの耳

芯の強さ * 第二幕−3

昨日は代官山に行ってきました。

またいずれ写真をアップしますが、
アルマーニを着た特大の写真に、ドキドキしてしまいました〜(*^^*)

でも、私が一番好きなこの写真は飾ってなくて、↓
残念(T_T) 

この写真の破壊力はハンバないのに・・

明日までですので、お時間のある方は是非、
同じガーデン内の本屋さんでも覗きがてら、行ってみてくださいね。

それでは、REDの備忘録のつづきです。

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ロスコに怒鳴りつけられ、静かに道具を片付けるケン。

上手奥に道具棚があって、
そこに小銭入れの缶とか、雑巾とか、ケンの着替えとかが
置いてありますよね。

その下のゴミ箱にゴミを捨てる時、
その下のバケツで雑巾を絞る時、

旬くんは後ろ向きで、
しゃがまずに、立ったまま屈みこむのですが、

そうするともう、
まっすぐな足の長さが際立って、驚いてしまいます。(*^^*)

そして、あれだけ怒られたのに、ケンは口を開きます。
「・・夜明けのREDです。・・」
「夜明け?」

床にこぼれた絵の具に雑巾をかけながら、
顔をあげずに、でも決然と、

「夜明けのREDです。・・その感じ。」
「はぁ?その感じ、だと?」

「夜明けはREDじゃない。」
「いえ、REDです。」
「私がREDじゃない、と言っている。」

そう言葉をさえぎるロスコにひるみもせずに、
「いえ、夜明けはRED、REDは夜明けです!」

・・この時初めて、ただの新人アシスタントではなく、
おとなしいイエスマンでもなく、

巨匠相手でも自分の意見をハッキリと言う、
ケンの芯の強さに驚きました!

「REDは鼓動、REDは情熱、赤ワイン、赤いバラ・・」
意地になって赤いものを羅列するケン。

「動脈の血。」
水をさすようなロスコの声に、
ハッと顔をあげて、「・・そうですね。」

「打ち捨てられた自転車のサビ。」
「りんご、そしてトマト。うさぎの鼻、アルビノの目。」
「ヒゲ剃りに失敗して、シェービングクリームににじむ血」
・・・

ケンが考える赤は、生命力にあふれたものが多く、
ロスコがあげる赤は、暗いイメージのものばかり。

やがて、ケンも立ち上がり、
真っ向からロスコと対峙して、言い募ります。

「赤信号、スポーツカー」
「手首を切ったとき、シンクに流れる血」

そして最後はお互い叫ぶように、

「サンタクロース!」
「サタン!!」

この、どんどんお互いの感情が高ぶっていく様子、
間髪入れない、畳み掛けるような台詞の応酬、

見応えがありましたよね! (^_^)v

そしてロスコは我に返り、タバコはまだあったか?
と尋ねます。

タバコの箱を手に取り、
黙ってロスコに放って渡すケン。

あれだけ怒られてもこれだけ言い合える間柄、
タバコを投げて渡せる間柄、

そこに、師弟のしっかりとした絆が感じられました。

そして、ロスコはマティスの赤い絵のことを話し始めます。
その絵を見続けた日々が自分の原点だ、と。

けれど、もうずいぶん昔の話だ、というロスコに、
「まだ(現代美術館に)ありますよ?」

と言うケンは、もういつもどおりの、
無邪気で屈託のない若者です。

「今はもう見れない。」
「どうしてですか?」

「・・気が滅入る。」
「あんな鮮やかな赤なのに?」

舞台を見ている時には感じなかったのですが、
あとから感想巡りをしていて、
「ケンの無垢さは残酷だ」という感想に出会いました。

そうです。
この無邪気さ、この素直さ、
赤に生命力しか感じない、その若々しさ。

老境に入って精力の衰えを自覚し、
やがて赤を描けなくなるのでは、という恐怖を感じている、

そんなロスコにとってケンの存在は、
自らの芸術論を聞かせられる弟子であるとともに、

意図せずして、自らを追い込む新興勢力の脅威を感じさせる、
両刃の剣のようなものだったのかもしれません・・。

もちろん、かわいいケンにはそんなつもりはさらさらなく、

「あの完璧な(マティスの絵の)レッドの中にさえ、それはある・・」
「それ?」
「ブラックだ。」
「色のブラックですか?」

「・・ブラックそのものだ。

私が唯一恐れるのは、ある日、
ブラックがレッドを侵食してしまうことだ・・」

そう言って口をつぐむロスコを、ケンが訝しげに見つめて、
舞台は暗転します・・。

照明は落ちますが、
一人で場面転換をする旬くんの動きは、明らかに演技の延長です。

新しいキャンバスを載せるための枠組みを1個、そしてまた1個、
颯爽とソデから運んできます。

一つを置くと、必ずズボンでパンパン、と手をはたきます。

枠を2つともきちんと定位置に置き、
ずれてないか、しゃがんで位置を確かめるその動きは、

仕事に慣れ、それを楽しみ、誇りを感じているアシスタントの、
キビキビとした動きです。

そして上手から、特大の新しいキャンバスを持ってきます。

ヒョイ、と2本の腕で持ち上げて、
ずれないように、そっと台の枠の上に置きます。

下手バルコニーSからのみ、
この時キャンバスの裏側にいる旬くんが見えますが、

高さ2m数十cmもある、結構重いはずのキャンバスを、
軽々と持ち上げる二の腕のたくましさに、ドキドキします。 (*^^*)

正面席からは、キャンバスに映る旬くんの影が見えて、
これもまた、オツなショットです。

正面の大きな絵は少し横にずらし、
舞台裏に通じる通路の黒い壁が見えるようになります。

その通路の上手をちょっとのぞき、
それから下手に隠してあった自作の絵を持って、

それをアトリエの隅にそっと置きます。

鍋の中の絵の具をかき混ぜながら、
電話を取って話しだした所で、第三幕の始まりです・・。

つづく
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by harupyonri | 2015-10-11 15:55 | 小栗旬 | Comments(0)