2013年 05月 27日
暗闇を抜け出せず?
無事に終わりましたね〜!!
私は4回の暗闇探検、
正直、あの長い廊下をいまだにさまよっているような感じですが、
千秋楽カテコのはじけんばかりの笑顔が見れたことだけでも、
大満足でした。 (*^_^*)
いろいろ心が折れそうなときもありましたが、
そんな時は、サントリーのムービーが救ってくれました・・(^_^;)
それではようやくですが、
とまどいながらの感想を書かせていただきます。
ネタバレを見たくない大阪組の皆様、
絶賛記事しか見たくない皆様は、
申し訳ありませんが、どうかスルーしてくださいませ・・ <(_ _)>
いきなりストーリーへのネガティブな感想で申し訳ありませんが、
旬くんの演技には何の不満もありませんので、
どうか広い心でお許し下さいね。
前にも書きましたが、初見の時は人間関係もわからず、
ストーリーを追うので精一杯。 (>_<)
翌週の2回目はお話の流れがわかっていたので、
ひたすらに大一郎だけを見ていました。
その翌週の3回目でようやく、
皆のセリフが言葉として胸に響いてきて、共感したりできた感じ。 (^_^;)
旬くんは開幕当初から最後まで、声も良く通り、
長セリフを噛むこともなく、
生き生きと大一郎を演じていました。
セリフの間合いも見事で、
「血族の歴史の暗闇に巻き込まれる」大一郎として、
何の文句もない、見事なお芝居だったと思います!
けれども、ただでさえ、誰にでも起こりそうな物語ではないのを、
なんとか戦争にからめて普遍性を持たせようとしながら、
(その戦争ですら、私のような世代でも、
どこか別の国の出来事のように実感がないのですが)
結局、大一郎も血縁の一人にしてしまったことで、
一般の私たちとは何の関係もない、
一地方の忘れられた歴史という、
小さな結論に集約してしまったというか・・。
大一郎と奈生子が惹かれ合ったのが、
先祖のしがらみによる運命的なもの、というほどでもなかったし、
なんていうか、最後まで
「他人事」のお話を見ていて終わってしまった感じでした。 (>_<)
これが歴史物でも、たとえば光秀に討たれる信長のように、
誰もが知っている物語がベースなら、
さぞかし悔しかったろうとか、いろいろ感情移入もできるんですが、
仲間を皆殺しにされて自分は死ぬこともできず、
虚しく恨みを晴らしていく金次郎の気持ちに寄り添うのにも、
私は何しろ、観劇3回くらい必要だったので・・(鈍すぎですか?)
しかも、この物語のある意味の主役は、
金次郎とおゆんですよね。
二人こそ、歴史に翻弄され、
血のしがらみにからめとられて、夜ごと悪夢にうなされて惑う役。
その歴史の記憶が、大一郎にも、その子供にも
受け継がれていくだろうというのはラストでわかりますが、
それで金次郎とおゆんは救われたとしても(?)、
大一郎と奈生子の未来は明るいのか??
・・まあ、そんな風に悶々とさせることこそ、
長塚脚本と旬くんの望むところだったのかもしれませんが。 (^o^)
たとえば旬くんが出た小劇場系のストレートプレイだと、
「偶然の音楽」は、圭くんの出た再演版を見たのですが、
これもある意味、「キテレツに巻き込まれる」物語で、
同じようにシンプルな舞台装置でしたが、
誰にでも起こりそうな人生の不条理が重く響き、
いまだに心に深く残っている作品でした。
暗闇とは違って、
結末がはっきりしないままの悲劇だったということを差し置いても、
もっとズッシリと感情に打ち込まれる何かがあって、
撹乱されて、立ち上がれないような、
ある意味、カリギュラを観たあとにも通じるような
深い感銘を受けました。
それに比べて、暗闇がどうしても他人事の物語にしか見えないのは、
終わり方がある意味、ぬるま湯だからか、
それとも、私の感受性が鈍ってしまったからなのでしょうか・・?
まあ、歴史音痴だというのが、致命的だったのかもしれません。 (>_<)
・・ただ私がずっとモヤモヤしてしまったのは、
これが、長塚さんが小栗旬にやらせたかった役なのかな??
っていうことなんです。
ムサシのいのうえさんが小次郎を旬くんに当て書きしてくれたように、
リチプアの制作陣が徹を旬くんに当て書きしてくれたように、
蜷川さんがカリギュラを、シェイクスピアを、
いずれもどこか気品のある高貴な役を旬くんに与えてくれたように、
旬くんの魅力を最大限に活かすような、
旬くんならでは、の役ではなかったと思うんです。
旬くんの魅力は、
カリギュラのように、アレックスのように、
どんなに残虐非道でも、
どこか愛さずにいられない清潔感があるところ。
林さんのように腐りきって崩れていても、
ナイフの刃のような鋭い透明感が見える一瞬があって、
心つかまれずにはいられないところ。
髑髏では、天と蘭が強烈な魅力を発揮していましたが、
それでも、あの二人が捨を演じられたかというと、否。
迷いつつ飄々としながらも、皆に慕われて、
舞台の真ん中にすっくと立つ捨を演じられるのは、
旬くんしかいなかった。
なんていうか、
今回の大一郎は主役というよりは、狂言回しですよね?
水戸の天狗党と諸生派の憎しみあいと、
その血筋の者達が引き起こす物語。
冒頭、大一郎と奈生子が宿につくまでと、
ラストだけは大一郎が主役ですが、
あとはずっと、わけのわからぬ史実に飲み込まれ、
呆然として翻弄されているのが大一郎。 (>_<)
事実、演出では、
回り舞台の中央で繰り広げられる金次郎たちの物語を、
舞台の周りをウロウロしながら、
驚愕し、唖然としながら見つめて、うろたえるばかりの大一郎。
途中で洗脳されて(笑)、天狗党に参加した時だけは
威勢良く、姿勢もいい大一郎ですが、
それ以外は、背も丸め、おろおろしている大一郎。
金次郎と戦うときも、まるで相手になっていないし、
大事な奈生子と息子を守ることさえできていない。
毎回思ったのは、
最後のカテコでスッと背筋の伸びた大一郎(旬くん)が、
劇中とは別人のようにカッコいいなぁ〜、っていうこと! (*^_^*)
正直、大一郎という役は史実に飲み込まれ、
埋もれてしまうようなキャラだと思うんです。 (T_T)
あれだけカッコよくもなれるし、狂気も演じられる
小栗旬をキャスティングしていながら、
カッコいいところもないし、
ギリギリ崖っぷちを感じさせる凄まじさもない役。
いっそ、旬くんが若き日の金次郎を演じてくれていたら、
金次郎の苦悩がもっと心に響いてきたと思うのですが・・。
もちろん、年齢を自在にあやつる小日向さんの素晴らしさ、
白石さんの語りの素晴らしさ、
それだけで、舞台としては充分です。
それなら大一郎というのは、主役ではなく、
観客と舞台をつなぐ、サブの役で良かったのではないかと思います。
そして、大一郎というキャラは、
たとえばぶっきーくんでも、たつやくんでも、えいたくんでも、
そつなくこなせるキャラではないかと思います。
もちろん、あの幻の行進の中にあって埋もれず、
背の高い奈生子と並んで、主役として絵にするためには、
旬くんの上背とスタイルの良さは大きな武器ですし、
滑舌の良いセリフと、よくとおる声があってこそ。
でも、主役にするなら、もっともっと小栗旬の魅力を全面的に魅せる役を
創りだして欲しかった・・
それはファンの、
ぜいたくなワガママでしょうね? (^_^;)
ただ、この公演の完成度の高さからみて、
たっぷりと稽古をして、練りに練って、
旬くんはきっと、ものすごく充実して楽しい
舞台ができたことと思います。
そして、そんな旬くんを間近に観ることができて、
本当に幸せな3週間でした!!
登場したときにはポマードでなでつけられたような大一郎の髪が、
旬くんの汗で濡れて、くるくる天パに戻っていくのが色っぽく、
奈生子との絡み方、
ハッキリ言えば「押し倒し方」も回によって異なって、(←そこ? (^o^))
生の舞台の面白さ、堪能させていただきました!!
次の記事では、
各回ごとの微妙な違いやハプニングなど、書いてみたいと思います。
私の物語の解釈の浅薄さをご指摘下さる辛口コメでも、
大一郎のここがカッコ良かったコメでもかまいませんので、
皆様の感想もお聞かせいただければ、嬉しいで〜す(^^)/
やっと納得できる感想に出会えました!「結局、大一郎も血縁の一人にしてしまったことで」まさに、ソコだと思います。長塚さん的には天狗の血、諸生の血という大きいくくりなのかもしれませんが、金次郎が子供を殺せなかったのが自分の血縁のせいみたいに思えてしまって、話が小さくなってしまったと思いました。小栗くんをもっと混乱と自己嫌悪と慟哭の谷底に突き落として欲しかったw いえ、本当にそのくらい重い出来事だったと思うのです。小栗くんに対しては超サドなのでwwそういう小栗くんが見たいだけかもですがw 小栗くんの金次郎、見たかったです、特にさいみ党になってからのを。そっち方向だったら小栗くんにしか出来ない役だと思うので。